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「ローコード」「ノーコード」の違いって?【トレンドIT用語解説】

DX(デジタルトランスフォーメーション)化推進の流れから、「IT人材が足りない」ということが叫ばれるようになりました。同時に、コーディングのスキルがなくても開発ができるという「ローコード」「ノーコード」というキーワードも見かけるようになりました。

「ローコード」「ノーコード」とてもよく似ているこの二つの単語、なぜ話題になっているのでしょうか?違いはなんでしょうか?

「ローコード」「ノーコード」が注目される背景

「ローコード」や「ノーコード」という用語は、ITベンダーがセールストークやウェブサイト、SNSなどのマーケティング、またはIT関連のマスメディアで広く使われるようになりました。

場合によっては単に、容易に構成したり、拡張したりできる特定のアプリケーションやソリューションを指すことがあります。「コーディングができなくてもアプリケーションを開発できる」そういった文脈で使われます。

ここでいう「コード」とは、プログラミング言語で書くコードのことを指します。

日本では、非ITの会社ではIT人材が足りていない

これまで、日本の企業が既存のITシステムに機能を追加したいとき、以下の手法をとっていました。

  1. ほしい機能を提供しているソフトウェアを探す

  2. (ソフトがない場合)専門の業者に特注してアドオンを開発してもらう(パッケージ開発)

  3. (外注を受けてくれる専門の業者が見つからない場合)特注してイチからシステムをくってもらう(スクラッチ開発)

(1)で条件に合うソフトやSaaSシステムがすぐに見つかればよいのですが、そうでない場合ソフトウェア開発企業に外注して、開発してもらわないといけません。開発をするにはプログラミング、コーディングのスキルが必要です。

外注する場合、発注から納品までに時間がかかり、業務効率が落ちます。また納品より先に他社がソフトを開発しても、発注をなかったことにはできません。

現在、DX化を推進するにあたり、コーディング・開発スキルを持った人が足りていません。もし、コーディングスキルを持たないビジネス部門の人材でもソフトウェア開発ができれば、ビジネスの現場で必要な機能がその都度自力で作ることができ、これまで外部外注していた時間・開発費用を圧縮することができます。

そういった、コーディングスキルがない人でも開発ができる「ノーコード」「ローコード」な開発プラットフォームのニーズが上がっているのです。

ちなみに海外では...

経済産業省が令和3年に出した「我が国のIT人材の動向」によると、日本ではIT人材の72%がIT企業で働いています。「IT人材がIT企業で働くのは当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、グローバルでは逆の現象が起きています。IT大国である米国は34%で、過半数は非IT企業で従事しているのです。カナダ、ドイツ、イギリスなどもIT企業過半数は非IT企業に従事しています(IT企業従事率は3~4割)。

「ノーコード」「ローコード」の違いは?

Gartner®(注1)のレポートによると、

「ノーコード」はマーケティング用語であり、専門職ではない開発者に向けたツールであることを示唆している。

Gartner, クイック・アンサー:開発ツールにおけるノーコードとローコードの違いは何か, Hideaki Horiuchi, 4 August 2021

とのことです。

開発にあたって、ノーコード(コーディングなし)というのはありません。「ノーコード」とは売り文句であり、Salesforceのスローガン「No Software」のようなものです。常にどこかでコードやソフトウェアは実行されており、ただ隠されているだけです。

「ノーコード」開発ツールは、データ・モデルから、ビジネス・ロジックやワークフローなど、視覚的なもので成果物が出せるインタフェースを提供して、コードを組むことを抽象化しています。

他方、「ローコード」開発ツールは、「ノーコード」ツールの機能に加え、さらにコードを書き足してカスタマイズすることができるのです。

(注1)GARTNERは、Gartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。All rights reserved.

「ノーコード」と「ローコード」の違いを工作の家づくりで例えてみる


たとえば、工作で「家」をつくるというミッションがあります。

「ノーコード」開発環境では、様々な大中小の四角いパーツを使って家を作ります。

「ローコード」開発環境では、これらのパーツに加え、自分でパーツを3Dプリンタで拡張パーツを作ってカスタマイズができます。「ノーコード」で作ったものよりも「思い描いていた理想に近い」家ができあがります。

結局、「ノーコード」と「ローコード」、どっちのほうがいいの?

おもちゃのブロックの例だけを見ると、拡張性が高い「ローコードのほうがメリット多そう」と思ってしまいそうですが、この3Dプリンタにあたる作業がソースコードを書く作業になります。

とはいえ、前述のとおり「ノーコード」「ローコード」とうたっていても、各企業のマーケティングのための表現であるため、各ツールに問い合わせて検証が必要です。これから「ノーコード」「ローコード」開発ツールを導入される企業は、言葉に惑わされず、自社のスキル・人材にあった製品を選んでください。

リックソフトでは、SaaS同士やオンプレミス環境をローコード・ノーコードで柔軟につなぐ「Workato」を扱っています。興味を持たれた方はご覧ください。


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